新しいお寺のかたち

明るいお寺 専明寺(下松市)

お仏壇の脇掛(わきがけ)について

お仏壇の中心には、浄土真宗のご本尊である阿弥陀如来さま(絵像または「南無阿弥陀仏」の名号)をお迎えすることをお話ししました。では、そのご本尊である阿弥陀さまの両脇には、何をお掛けすればよいのでしょうか? 今回はこの「脇掛(わきがけ)」についてご説明いたします。

1. お仏壇の脇に掛けるもの「脇掛」とは

お仏壇の中心には、私たちの真実の依り処である阿弥陀如来さまがいらっしゃいます。そして、その阿弥陀さまの両隣のスペースには、一般的に「脇掛(わきがけ)」と呼ばれる掛け軸をお掛けします。これは、ご本尊である阿弥陀さまを最も尊い方として中心にお迎えした上で、その教えを私たちに伝えてくださった方々などをおまつりするためのものです。

2. 一般的な脇掛:親鸞聖人と蓮如上人、または名号

浄土真宗本願寺派において、一般的にお掛けする脇掛は、以下のようになります。

  • お仏壇に向かって右側
    浄土真宗の宗祖(しゅうそ)である親鸞聖人のお姿が描かれた掛け軸 または 「帰命尽十方無碍光如来」と書かれた名号(十字名号)。
  • お仏壇に向かって左側
    本願寺の中興(ちゅうこう)の祖である蓮如上人のお姿が描かれた掛け軸 または 「南無不可思議光如来」と書かれた名号(九字名号)。

つまり、両脇に親鸞聖人・蓮如上人のお二人の御影をお掛けする場合もあれば、両脇に十字名号・九字名号という二つの名号をお掛けする場合があります。どれが正式ということはありませんが、地域やお寺によって慣例がある場合もあります。

3. なぜこの方々(または名号)を? - 私たちを教えに導く存在として

では、なぜ親鸞聖人や蓮如上人の御影、あるいはこれらの名号を脇掛としてお掛けするのでしょうか?

  • 親鸞聖人(1173-1262)と蓮如上人(1415-1499)は、私たちにとって最も大切な阿弥陀如来さまの救いの教えを、正しく、そして分かりやすく伝えてくださった、大変重要な方々です。私たちは、このお二人のご苦労とお導きによって、今日、阿弥陀さまの教えに出会うことができています。御影をお掛けするのは、このお二人の祖師に深い敬意と感謝の念を表し、そのお導きをいただくためです。
  • 帰命尽十方無碍光如来」や「南無不可思議光如来」といった名号は、阿弥陀如来さまの持つ素晴らしいお徳、特に智慧と慈悲のはたらきを表す言葉です。これらをお掛けすることは、阿弥陀さまのお徳を讃え、そのお働きに照らされて生きることを確認する意味があります。

どちらの脇掛であっても、それは私たちがお仏壇の前に座り、阿弥陀さまの教えを聞かせていただく際に、そのお手本を示し、私たちを導いてくださる存在として尊ばせていただくものです。

ただし、繰り返しになりますが、あくまで中心はご本尊である阿弥陀如来さまです。脇掛は、阿弥陀さまの教えを私たちに届けてくださった方々や、そのお徳を表すものとして大切にする、という位置づけになります。

4. おわりに:敬いの心を大切に

お仏壇の脇掛は、ご本尊である阿弥陀如来さまへの信仰を、より確かなものにするための助けとなります。阿弥陀さまの教えを開き伝えてくださった祖師方への感謝の念、あるいは阿弥陀さまのお徳を讃える心を忘れずに、日々のお参りをさせていただきたいものです。

ご本尊である阿弥陀如来さまを敬い、そして脇掛に示される祖師方や名号に込められた意味を大切にする。この心を大切にしてお仏壇に向かうことが、私たちの信仰生活を豊かにしてくれることでしょう。もし脇掛についてご不明な点があれば、お手次のお寺さまにご相談されるのがよいでしょう。