お仏壇の中心にはどなたをお迎えするの?

ご家庭のお仏壇、そしてお寺の本堂の中心には、どなたがおまつりされているかご存知でしょうか?今回は、この大切な問いについて、浄土真宗の教えからお話しさせていただきます。

1. お仏壇の中心は「阿弥陀如来」さま ただお一人

浄土真宗のご本尊、すなわちお仏壇や本堂の中心にお迎えする仏さまは、「阿弥陀如来」さま、ただお一人です。これは、全国どのお寺のご本堂でも、どちらの門徒さまのお仏壇でも変わりありません。お仏壇の大きさや形が様々であっても、中心にいらっしゃるのは必ず阿弥陀如来さまなのです。

他の仏さまや神さま、あるいはご先祖さまのお位牌などを中心におまつりすることは、浄土真宗の教えではありません。

2. 阿弥陀如来さまとは? ~私たちを必ず救うと誓われた仏さま~

では、阿弥陀如来さまとは、どのような仏さまなのでしょうか? 阿弥陀如来さまのことは、『仏説無量寿経』『仏説観無量寿経』『仏説阿弥陀経』という浄土三部経(じょうどさんぶきょう)というお経に詳しく説かれています。

「阿弥陀」というお名前には、「はかりしれない光(無量光)」と「限りないいのち(無量寿)」という二つの大きな意味が込められています。この智慧の光と慈悲のいのちをもって、阿弥陀さまは、「すべての者を分け隔てなく、必ず浄土へ救いとる」という誓い(本願)を建てられ、その願いを成就された仏さまです。

この阿弥陀さまの温かいお心とそのお働きを、私たちが感じ、礼拝できるように、木像、絵像、あるいは「南無阿弥陀仏」の名号(掛け軸)という形で、私たちに示してくださっています。

(ちなみに、仏教を開かれたお釈迦さまは、約2500年前にインドで活躍された歴史上実在の人物ですが、阿弥陀如来さまは、お経に説かれる仏さまであり、その違いは理解しておきましょう。)

3. なぜ阿弥陀如来さまだけ? ~現世利益ではなく、お浄土への救い~

浄土真宗で阿弥陀如来さまだけをご本尊とするのには、大切な理由があります。それは、阿弥陀如来さまが、必ず命終えていく私たちを、そのお浄土へと導き救ってくださる仏さまであり、私たち凡夫にとって唯一の、そして真実の依り処となる方だからです。

ここで大切なことは、阿弥陀如来さまは、現世利益(げんぜりやく)、例えば病気平癒や商売繁盛などを願う対象ではないということです。そのような個人的な願いを阿弥陀さまに向けて祈願しても、その効果はありません。浄土真宗のお寺や門徒の家庭に、お守りや祈願・祈祷といったものがないのは、この阿弥陀如来さまをご本尊としているからです。

私たちは、自分自身の力では煩悩から離れられず、迷い苦しむ存在です。そのような私たちを、「そのままのあなたを、必ず仏にする」と誓い、お浄土への道を開いてくださったのが阿弥陀如来さまです。私たちは、この阿弥陀さまの無条件の救いのお働きにすべてをおまかせし、お導きによってお浄土に生まれさせていただくのです。ですから、ただ阿弥陀如来さまお一人を、真実の依り処としてお仏壇の中心にお迎えします。

4. ご本尊の選び方とお迎えする心

ご本尊には、木像、絵像、名号の形式があります。どの形式が良いかは、お仏壇の大きさなどに合わせてお選びいただけますが、いずれも阿弥陀如来さまを表す尊いものです。

ご本尊は、できれば本山(西本願寺)やお手次のお寺にご相談の上、お迎えいただくのが丁寧なあり方です。それは、私たちが阿弥陀さまの教えを受け継いできた歴史と繋がるという意味合いもあります。

しかし、最も大切なことは、お迎えしたご本尊の形式や大きさではありません。お仏壇の中心に阿弥陀如来さまがいらっしゃることを心に留め、日々敬いの心をもって手を合わせ、阿弥陀さまに見守られていることを感じながら生活していくことです。

おわりに:阿弥陀さまを暮らしの中心に

お仏壇は、阿弥陀如来さまの限りない慈悲に触れさせていただく、私たちにとって最も身近で尊い場所です。その中心に阿弥陀如来さまをお迎えし、日々の暮らしの中で手を合わせ、語りかけることを通して、私たちは心の安らぎをいただき、感謝の気持ちを深め、人生を歩む確かな支えを得ることができるのです。

皆さまの家庭のお仏壇が、阿弥陀如来さまとの温かい出会いの場であり続けますよう、心より念じております。

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