正信偈のこころ

正信偈について

正信偈とは

第1章 帰敬序について

正信偈全文・書き下し文 現代語訳
1 帰命無量寿如来
きみょうむりょうじゅにょらい
限りない命の如来に帰命きみょう
無量寿むりょうじゅ如来に帰命し
2 南無不可思議光
なもふかしぎこう
思いはかることのできない光の如来に帰依きえしたてまつる
不可思議ふかしぎこう南無なもしたてまつる

第2章 依経段について

 

3 法蔵菩薩因位時
ほうぞうぼさついんにじ
法蔵ほうぞう菩薩ぼさつ因位いんにのときに
法蔵ほうぞう菩薩の因位いんに
4 在世自在王仏所
ざいせじざいおうぶつしょ
世自在せじざい王仏おうぶつのみもとで
世自在せじざい王仏おうぶつの所にましまして
5 覩見諸仏浄土因
とけんしょぶつじょうどいん
仏がたの浄土の成り立ちや
諸仏しょぶつの浄土の因
6 国土人天之善悪
こくどにんでんしぜんまく
その国土や人間や神々の善し悪しをご覧になって
国土人天にんでんの善悪を覩見とけんして
7 建立無上殊勝願
こんりゅうむじょうしゅしょうがん
この上なくすぐれたがんをおたてになり
無上殊勝しゅしょうの願を建立し
8 超発希有大弘誓
ちょうほつけうだいぐぜい
世にもまれな大いなる誓いをおこされた
希有けう大弘誓だぐぜい超発ちょうほつせり
9 五劫思惟之摂受
ごこうしゆいししょうじゅ
五劫ごこうもの長い間思惟しゆいしてこの誓願せいがんを選び取り
五劫ごこうこれを思惟しゆいして摂受しょうじゅ
10 重誓名声聞十方
じゅうせいみょうしょうもんじっぽう
名号みょうごうをすべての世界に聞えさせようと重ねて誓われたのである
重ねて誓ふらくは、名声みょうしょう十方に聞えんと
11 普放無量無辺光
ふほうむりょうむへんこう
本願を成就された仏は、無量光むりょうこう無辺光むへんこう無礙光むげこう無対光むたいこう炎王光こうえんのう清浄光しょうじょうこう歓喜光かんぎこう智慧光ちえこう不断光ふだんこう難思光なんじこう無称光むしょうこう超日月光ちょうにちがっこうとたたえられる光明こうみょうを放って
あまねく無量・無辺光
12 無碍無対光炎王
むげむたいこうえんのう
無礙・無対・光炎王
13 清浄歓喜智慧光
しょうじょうかんぎちえこう
清浄・歓喜・智慧光
14 不断難思無称光
ふだんなんじむしょうこう
不断・難思・無称光
15 超日月光照塵刹
ちょうにちがっこうしょうじんせつ
超日月光を放ちて塵刹じんせつを照らす
16 一切群生蒙光照
いっさいぐんじょうむこうしょう
広くすべての国々を照らし、すべての衆生はその光明に照らされる
一切の群生ぐんじょう光照こうしょうこうむ
17 本願名号正定業
ほんがんみょうごうしょうじょうごう
本願成就の名号みょうごうは衆生が間違いなく往生するための行であり
本願ほんがん名号みょうごう正定しょうじょうごうなり
18 至心信楽願為因
ししんしんぎょうがんにいん
至心ししん信楽しんぎょうの願(第十八願)に誓われている信を往生の正因しょういんとする
至心ししん信楽しんぎょうの願(第十八願)を因とす
19 成等覚証大涅槃
じょうとうがくしょうだいねはん
正定聚しょうじょうじゅの位につき、浄土に往生してさとりを開くことができるのは
等覚とうがくを成り大涅槃だいねはんしょうすることは
20 必至滅度願成就
ひっしめつどがんじょうじゅ
必至ひっし滅度めつどの願(第十一願)が成就されたことによる
必至滅度の願(第十一願)成就なり
21 如来所以興出世
にょらいしょいこうしゅっせ
如来が世に出られるのは、
如来、世に興出こうしゅつしたまうゆえは
22 唯説弥陀本願海
ゆいせつみだほんがんかい
ただ阿弥陀仏の本願一乗海いちじょうかいの教えを説くためである
ただ弥陀の本願海ほんがんかいを説かんとなり
23 五濁悪時群生海
ごじょくあくじぐんじょうかい
五濁ごじょくの世の人々は
五濁ごじょく悪時あくじ群生海ぐんじょうかい
24 応信如来如実言
おうしんにょらいにょじつごん
釈尊のまことの教えを信じるがよい
如来如実にょじつの言を信ずべし
25 能発一念喜愛心
のうほついちねんきあいしん
信をおこして、阿弥陀仏の救いを喜ぶ人は
よく一念いちねん喜愛きあいの心を発すれば
26 不断煩悩得涅槃
ふだんぼんのうとくねはん
自ら煩悩を断ち切らないまま
煩悩を断ぜずして涅槃ねはんをうるなり
27 凡聖逆謗斉回入
ぼんじょうぎゃくほうさいえにゅう
凡夫ぼんぶ聖者しょうじゃも、五逆ごぎゃくのものも謗法ほうぼうのものも、みな本願海に入れば
凡聖ぼんしょう逆謗ぎゃくほうひとしく回入えにゅうすれば
28 如衆水入海一味
にょしゅしいにゅうかいいちみ
どの川の水も海に入ると一つの味になるように、等しく救われる
衆水しゅすい、海にいりて一味なるがごとし
29 摂取心光常照護
せっしゅしんこうじょうしょうご
阿弥陀仏の光明はいつも衆生をおさってお護りくださる
摂取せっしゅ心光しんこうつねに照護しょうごしたもう
30 已能雖破無明闇
いのうすいはむみょうあん
すでに無明むみょうの闇は晴れても
すでによく無明むみょうの闇を破すといえども
31 貪愛瞋憎之雲霧
とんないしんぞうしうんむ
むさぼりや怒りの雲や霧は、
貪愛とんない瞋憎しんぞう雲霧うんむ
32 常覆真実信心天
じょうふしんじつしんじんてん
いつもまことの信心の空をおおっている
つねに真実信心の天におおえり
33 譬如日光覆雲霧
ひにょにっこうふうんむ
しかし、たとえば日光が雲や霧にさえぎられても、
たとえば日光の雲霧うんむにおおわれども
34 雲霧之下明無闇
うんむしげみょうむあん
その下は明るく闇がないと同じである
雲霧の下あきらかにして闇なきがごとし
35 獲信見敬大慶喜
ぎゃくしんけんきょうだいきょうき
しんを得て大いに喜び敬う人は
信をえて見て敬い大きに慶喜きょうきすれば
36 即横超截五悪趣
そくおうちょうぜつごあくしゅ
ただちに本願力ほんがんりきによって迷いの世界のきずなが断ち切られる
すなわちおう五悪趣ごあくしゅ超載ちょうぜつ
37 一切善悪凡夫人
いっさいぜんまくぼんぶにん
善人も悪人も、どのような凡夫であっても
一切善悪の凡夫人ぼんぶにん
38 聞信如来弘誓願
もんしんにょらいぐぜいがん
阿弥陀仏の本願を信じれば
如来の弘誓願ぐぜいがん聞信もんしんすれば
39 仏言広大勝解者
ぶつごんこうだいしょうげしゃ
仏はこの人をすぐれた智慧を得たものであるとたたえ
仏、広大勝解しょうげのひととのたまえり
40 是人名分陀利華
ぜにんみょうふんだりけ
汚れのない白い蓮の花のような人とおほめになる
このひとを分陀利華ふんだりけと名づく
41 弥陀仏本願念仏
みだぶつほんがんねんぶつ
阿弥陀仏の本願念仏のおしえは、
弥陀仏の本願念仏は
42 邪見憍慢悪衆生
じゃけんきょうまんなくしゅじょう
よこしまな考えを持ち、おごりたかぶる自力のものが
邪見じゃけん憍慢きょうまん悪衆生あくしゅじょう
43 信楽受持甚以難
しんぎょうじゅじじんになん
信じることは実に難しい
信楽しんぎょう受持じゅじすること甚だもって難し
44 難中之難無過斯
なんちゅうしなんむかし
難の中の難であり、これ以上に難しいことはない
難のなかの難これにすぎたるはなし

第3章 依釈段について

45 印度西天之論家
いんどさいてんしろんげ
インドの菩薩方や
印度いんど西天さいてん論家ろんげ
46 中夏日域之高僧
ちゅうかじちいきしこうそう
中国と日本の高僧方が
中夏(中国)・日域(日本)の高僧
47 顕大聖興世正意
けんだいしょうこうせしょうい
釈尊が世に出られた本意をあらわし
大聖だいじょう(釈尊)興世こうせ正意しょういを顕し
48 明如来本誓応機
みょうにょらいほんぜいおうき
阿弥陀仏の本願は、私たちのために建てられたことを明らかにされた
如来の本誓ほんぜい(凡夫)に応ぜることを明かす
49 釈迦如来楞伽山
しゃかにょらいりょうがせん
釈尊は楞伽山りょうがせn
釈迦如来、楞伽山りょうがせんにして
50 為衆告命南天竺
いしゅうごうみょうなんてんじく
大衆に、南インドに
しゅうのために告命こうみょうしたまはく
51 龍樹大士出於世
りゅうじゅだいじしゅっとせ
龍樹りゅうじゅ菩薩が現れて
南天竺なんてんじく(南印度)に龍樹大士世に出でて
52 悉能摧破有無見
しつのうざいはうむけん
有無の邪見じゃけんをすべて打ち破り
ことごとくよく有無の見を摧破ざいはせん
53 宣説大乗無上法
せんぜつだいじょうむじょうほう
尊い大乗だいじょうの法を説き
大乗無上の法を宣説せんぜつ
54 証歓喜地生安楽
しょうかんぎじしょうあんらく
歓喜地かんぎちの位に至って、阿弥陀仏の浄土に往生するだろうと仰せになった
歓喜地かんぎちしょうして安楽あんらくに生ぜんと
55 顕示難行陸路苦
けんじなんぎょうろくろく
龍樹菩薩は、難行道なんぎょうどうは苦しい陸路りくろのようであると示し、
難行の陸路、苦しきことを顕示けんじして
56 信楽易行水道楽
しんぎょういぎょうしいどうらく
易行道いぎょうどうは楽しい船旅のようであるとお勧めになる
易行いぎょう水道すいどう、楽しきことを信楽しんぎょうせしむ
57 憶念弥陀仏本願
おくねんみだぶつほんがん
阿弥陀仏の本願を信じれば
弥陀仏の本願を憶念おくねんすれば
58 自然即時入必定
じねんそくじにゅうひつじょう
おのずからただちに正定聚しょうじょうじゅに入る
自然じねんそくの時必定ひつじょうに入る
59 唯能常称如来号
ゆいのうじょうしょうょらいごう
ただ常に阿弥陀仏の名号みょうごうとな
ただよくつねに如来のごうを称して
60 応報大悲弘誓恩
おうほうだいひぐぜいおん
本願の大いなる慈悲の恩に報いるがよいと述べられた
大悲弘誓だいひぐぜいの恩をほうずべしといへり
61 天親菩薩造論説
てんじんぼさつぞうろんせつ
天親てんじん菩薩は、『浄土論じょうどろん』を著して
天親てんじん菩薩、『論』(浄土論)を造りてかく
62 帰命無碍光如来
きみょうむげこうにょらい
無碍光むげこう如来に帰命きみょうしたてまるつる」と述べられた
無礙光むげこう如来に帰命したてまつる
63 依修多羅顕真実
えしゅたらけんしんじつ
浄土の経典にもとづいて阿弥陀仏のまことをあらわされ
修多羅しゅたらによりて真実を顕して
64 光闡横超大誓願
こうせんおうちょうだいせいがん
横超おうちょうのすぐれた誓願せいがんを広くお示しになり
横超おうちょう大誓願だいぜいがん光闡こうせん
65 広由本願力回向
こうゆほんがんりきえこう
本願力の廻向えこうによって
広く本願力の回向えこうによりて
66 為度群生彰一心
いどぐんじょうしょういっしん
すべてのものを救うために、一心いっしんすなわち他力の信心のとくを明らかにされた
群生ぐんじょうせんがために一心いっしんあらわ
67 帰入功徳大宝海
きにゅうくどくだいほうかい
本願の名号にし、大いなる功徳の海に入れば
功徳くどく大宝海だいほうかい帰入きにゅうすれば
68 必獲入大会衆数
ひつぎゃくにゅうだいえしゅしゅ
浄土に往生する身とさだまる
かならず大会衆だいえしゅの数に入ることを
69 得至蓮華蔵世界
とくしれんげぞうせかい
阿弥陀仏の浄土に往生すれば
蓮華蔵れんげぞう世界に至ることを得れば
70 即証真如法性身
そくしょうしんにょほっしょうしん
ただちに真如しんにょをさとった身となり
すなはち真如しんにょ法性ほっしょうの身を証せしむと
71 遊煩悩林現神通
ゆうぼんのうりんげんじんずう
さらに迷いの世界にかえり、神通力じんづうりきをあらわして
煩悩の林に遊んで神通じんづうを現じ
72 入生死園示応化
にゅうしょうじおんじおうげ
自在に衆生を救うことができると述べられた
生死しょうじそのに入りて応化おうげを示すといへり
73 本師曇鸞梁天子
ほんしどんらんりょうてんし
曇鸞どんらん大師はりょう武帝ぶてい
本師曇鸞どんらんは、りょう天子てんし
74 常向鸞処菩薩礼
じょうこうらんしょぼさつらい
常に曇鸞どんらん大師を菩薩と仰がれた方である
つねにらんところに向かひて菩薩と礼したてまつる
75 三蔵流支授浄教
さんぞうるしじゅじょうきょう
菩提流支ぼだいるし三蔵さんぞうから浄土の経典を授けられたので
三蔵流支さんぞうるし浄教じょうきょうを授けしかば
76 焚焼仙経帰楽邦
ぼんじょうせんぎょうきらくほう
仙経せんぎょうを焼き捨てて浄土の教えに帰依きえされた
仙経せんぎょう焚焼ぼんしょうして楽邦らくほうに帰したまひき
77 天親菩薩論註解
てんじんぼさつろんちゅうげ
天親てんじん菩薩の『浄土論じょうどろん』を注釈ちゅうしゃくして
天親菩薩の『論』(浄土論)を註解して
78 報土因果顕誓願
ほうどいんがけんせいがん
浄土に往生する因も果も阿弥陀仏の誓願せいがんによることを明らかにし
報土ほうど因果いんが誓願せいがんに顕す
79 往還回向由他力
おうげんえこうゆたりき
往相おうそう還相げんそうも他力の廻向えこうであると示された
往還おうげんの回向は他力による
80 正定之因唯信心
しょうじょうしいんゆいしんじん
浄土へ往生するための因は、ただ信心一つである
正定しょうじょうの因はただ信心なり
81 惑染凡夫信心発
わくぜんぼんぶしんじんぽう
煩悩具足ぐそくの凡夫でもこの信心を得たなら
惑染わくぜんの凡夫、信心ほっすれば
82 証知生死即涅槃
しょうちしょうじそくねはん
仏のさとりを開くことができる
生死しょうじすなはち涅槃ねはんなりと証知しょうちせしむ
83 必至無量光明土
ひっしむりょうこうみょうど
計り知れない光明の浄土に至ると
かならず無量むりょう光明土こうみょうどに至れば
84 諸有衆生皆普化
しょうしゅじょうかいふけ
あらゆる迷いの衆生を導くことができると述べられた
諸有しょう衆生しゅじょうみなあまねくすといへり
85 道綽決聖道難証
どうしゃくけつしょうどうなんしょう
道綽どうしゃく禅師ぜんじは、聖道門しょうどうもんの教えによってさとるのは難しく
道綽どうしゃく聖道しょうどうしょうしがたきことを決して
86 唯明浄土可通入
ゆいみょうじょうどかつうにゅう
浄土門じょうどもんの教えによってのみさとりに至ることができることを明らかにされた
ただ浄土の通入つうにゅうすべきことを明かす
87 万善自力貶勤修
まんぜんじりきへんごんしゅ
自力の行はいくらおさめても劣っているとして
万善まんぜんの自力、勤修ごんしゅけな
88 円満徳号勧専称
えんまんとくごうかんせんしょう
ひとすじにあらゆる功徳をそなえた名号みょうごうを称えることをお勧めになる
円満えんまん徳号とくごう専称せんしょうすす
89 三不三信誨慇懃
さんぷさんしんけんおんごん
三信さんしん三不信さんぷしんの教えを懇切こんせつに示し
三不三信さんぷさんしんおしえ慇懃おんごんにして
90 像末法滅同悲引
ぞうまつほうめつどうひいん
正法しょうぼう像法ぞうぼう末法まっぽう法滅ほうめつ、何時の時代においても、本願念仏の法は変わらず人々を救い続けることを明かされる
像末ぞうまつ法滅ほうめつ同じく悲引ひいん
91 一生造悪値弘誓
いっしょうぞうあくちぐぜい
たとえ生涯悪をつくり続けても、阿弥陀仏の本願を信じれば
一生悪を造れども、弘誓ぐぜいひぬれば
92 至安養界証妙果
しあんにょうがいしょうみょうか
浄土に往生しこの上ないさとりを開くと述べられた
安養界あんにょうかいに至りて妙果みょうかを証せしむといえり
93 善導独明仏正意
ぜんどうどくみょうぶっしょうい
善導ぜんどう大師はただ独りこれまでの誤った説を正して釈尊の教えの真意を明らかにされた
善導ぜんどう独り仏の正意しょういをあきらかにせり
94 矜哀定散与逆悪
ごうあいじょうさんよぎゃくあく
善悪のすべての人を哀れんで、
定散じょうさん逆悪ぎゃくあくとを矜哀こうあいして
95 光明名号顕因縁
こうみょうみょうごうけんいんねん
光明と名号が縁となり因となってお救いくださると示された
光明・名号因縁いんねんを顕す
96 開入本願大智海
かいにゅほんがんだいちかい
本願の大いなる智慧の海に入れば
本願の大智海だいちかい開入かいにゅうすれば
97 行者正受金剛心
ぎょうじゃしょうじゅこんごうしん
行者は他力の信を廻向えこうされ
行者まさしく金剛心こんごうしんを受けしめ
98 慶喜一念相応後
きょうきいちねんそうおうご
如来の本願にかなうことができたそのときに
慶喜きょうきの一念相応そうおうして後
99 与韋提等獲三忍
よいだいとうぎゃくさんにん
韋提希いだいけと同じく喜忍きにん悟忍ごにん信忍しんにん三忍さんにんを得て、
韋提いだいと等しく三忍さんにん
100 即証法性之常楽
そくしょうほうしょうしじょうらく
浄土に往生してただちにさとりを開くと述べられた
すなはち法性ほっしょう常楽じょうらくを証せしむといへり
101 源信広開一代教
げんしんこうかいいちだいきょう
源信げんしん和尚かしょうは、釈尊の説かれた教えを広く学ばれて
源信げんしん広く一代の教を開きて
102 偏帰安養勧一切
へんきあんにょうかんいっさい
ひとえに浄土を願い、また世のすべての人々にもお勧めになった
ひとへに安養あんにょうに帰して一切を勧む
103 専雑執心判浅深
せんぞうしゅうしんはんせんじん
さまざまな行をまじえて修める自力の信心は浅く化土けどにしか往生できないが、
専雑せんぞう執心しゅうしん浅深せんじんはんじて
104 報化二土正弁立
ほうけにどしょうべんりゅう
念仏一つをもっぱら修める他力の信心は深く、報土ほうどに往生できると明らかに示された
報化ほうけ二土にどまさしく弁立べんりゅうせり
105 極重悪人唯称仏
ごくじゅうあくにんゆいしょうぶつ
きわめて罪の重い悪人はただにち念仏すべきである
極重ごくじゅうの悪人はただ仏を称すべし
106 我亦在彼摂取中
がやくざいせっしゅうちゅう
わたしもまた阿弥陀仏の光明の中におさられているけれども
われまたかの摂取せっしゅのなかにあれども
107 煩悩障眼雖不見
ぼんのうしょうげんすいふけん
煩悩が私の目をさえぎって、見たてまつることができない。しかしながら
煩悩、まなこへて見たてまつらずといへども
108 大悲無倦常照我
だいひむけんじょうしょうが
阿弥陀仏の大いなる慈悲じひの光明は、そのような私を見捨てることなく常に照らしていてくださると述べられた
大悲だいひものうきことなくしてつねにわれを照らしたまうといえり
109 本師源空明仏教
ほんしげんくうみょうぶっきょう
源空法然ほうねん)聖人は深く仏の教えをきわめられ
本師源空は、仏教にあきらかにして
110 憐愍善悪凡夫人
れんみんぜんまくぼんぶにん
善人も悪人もすべての凡夫を哀れんで
善悪の凡夫人を憐愍れんみんせしむ
111 真宗教証興片州
しんしゅうきょうしょうこうへんしゅう
この国に往生浄土の真実の教えを開いて明らかにされ
真宗の教証きょうしょう片州へんしゅうおこ
112 選択本願弘悪世
せんじゃくほんがんぐあくせ
選択せんじゃく本願のおしえ五濁ごじょくの世にお広めになった
選択本願、悪世にひろ
113 還来生死輪転家
げんらいしょうじりんでんげ
迷いの世界に輪廻りんねすることは
生死しょうじ輪転りんでんの家に還来げんらいることは
114 決以疑情為所止
けっちぎじょういしょし
本願を疑いはからうからである
決するに疑情ぎじょうをもつて所止しょしとす
115 速入寂静無為楽
そくにゅうじゃくじょうむいらく
速やかにさとりの世界に入るには
すみやかに寂静じゃくじょう無為むいみやこに入ることは
116 必以信心為能入
ひっちしんじんいのうにゅう
ただ本願を信じる他にはないと述べられた
かならず信心をもつて能入のうにゅうとすといえり
117 弘経大士宗師等
ぐきょうだいじしゅしとう
浄土の教えを広めてくださった祖師方は
弘経ぐきょうの大士・宗師等
118 拯済無辺極濁悪
じょうさいむへんごくじょくあく
数限りない五濁ごじょくの世の衆生をみなお導きになる
無辺の極濁悪ごくじょくあく拯済じょうさいしたまふ
119 道俗時衆共同心
どうぞくじしゅうぐどうしん
出家のものも在家のものも今の世の人々はみなともに
道俗どうぞく時衆じゅしゅうともに同心どうしん
120 唯可信斯高僧説
ゆいかしんしこうそうせつ
ただこの高僧方の教えを仰いで信じるがよい
ただこの高僧の説を信ずべしと