よろこびまもりたまふなり

テレビ「はじめてのおつかい」というのをご覧になったことはありますか?
やっと歩けるくらいになった子どもから、小学校低学年の子供が親からおつかいを頼まれて、
子どもだけで買い物にいくというものです。
子供は最初、親からお金を持たされて、道順や目印を教えられて、子供が「分かった」という
風になって、なんとか買い物に出かけるのです。
私が見たときは、知り合いに魚を届けに行き、お肉屋さんでコロッケ10個を買うというものでした。
家を出かけるときに親からよくよく聞いていたはずなのに、散々迷ったあげくに、泣いたり元気を出したり、
何とかコロッケを買って家にかえることができました。
テレビを見ていると、子供の周りを変装して取り囲みながら歩いている大人がいます。
子どもの安全を守りながら、子供に知られることなく撮影し、見守っているのでしょう。
やっとの思いで家にたどり着き、帰りを待っているお母さんの胸に飛び込んでともに安心して
喜んでいる姿をみると、なるほどなぁ、あの迷いながら歩んでいる子どもは、私の姿でありました。
南無阿弥陀仏をとなふれば
十方無量の諸仏は
百重千囲繞(いにょう)して
よろこびまもりたまふなり
という御和讃があります。何もかも分かっているようなつもりで生活しているこの私が、
さまざまな方のご縁によってお念仏申すことに出遇えたことは、何にもましてよろこばしいことであり、
先にお浄土へ参られた諸仏方のおはたらきを有難くいただくのであります。

-法話