1、お布施とはなんでしょうか?
◎お布施とは、慈悲の心を持って、ひろく他人に施しをなすことです。
布施という言葉は、サンスクリット語の「ダーナ」を訳したもので、
「檀那だんな」と音訳されました。
この言葉の意味は、「贈与・贈り物」のことです。
これは大乗仏教の大切な実践倫理(六波羅蜜)の第一にあげられ、
「完全に純粋な物質的・精神的な恵み」という意味です。
だから、施す人に執着があってはいけません。
受ける人に執着があってもいけないのです。
以上が、「布施」の原則です。
◎具体的に布施とは以下の3つをさします。
①「法 施」⇒教えを説くこと
②「財 施」⇒金品を施すこと
③「無畏施むいせ」⇒恐れから救い出すこと、他人を和やかにすること
◎ 現在の布施の理解は、信徒より僧侶に対する「謝礼」「料金」の意味として受け取られているようです。
しかし、今まで述べてきましたように布施行は、ギブ アンド テイク(見返り)ではありません。
本来、宗教的「行」であり「報謝の行」です。報いを求めないものです。
ところが現在、葬式の時に金額を請求する宗派や寺院があらわれて、驚くやら、あきれるやらの思いです。
2、お布施は誰に差し上げるのでしょう
◎ 仏教教団の原型が残っているビルマやタイなどでは、托鉢して頂いた食べ物を全部一緒にして、
それを全員で分けていただきます。ですから、信徒が僧侶に食物・金品を施す(財施)は、
僧侶全体・寺院全体へ差し上げることなのです。
◎ 浄土真宗では、阿弥陀如来様やお釈迦様を「大応供だいおうぐ」といい、
お供えを受けるに足るお方と親鸞聖人がおっしゃっています。ですから、
お布施を受け取るのは浄土真宗では阿弥陀如来様とお釈迦様だけなのです。
◎ お布施はご院家さんが一時間労働したからという賃金ではありません。
それは国の法律も認めていて、皆さんが仏様に差し上げた「お布施」には税金がかかりません。
しかし、ご院家さんが生活するために仏様から給料を頂きますが、それには皆様方と同様に税金がかかります。
◎ このように、阿弥陀如来様に差し上げるのですから「お包み」にして差し上げます。
決して「裸銭」ではさしあげません。
3、「お包み」はなんと書いたらよいでしょうか
◎ 阿弥陀如来様に差し上げる「お包み」は、「お布施」または「御布施」「ご仏前」
と書き、下に差し上げる方のお名前を書きます。
熨斗は、葬儀・法事・祥月命日・月忌などの時には「白黒の熨斗」を使用します。
また、入仏式や建墓法要・初参式などのお祝いの仏事の時には、「赤白の熨斗」を使用します。
最近、黄色の熨斗を見かけますが、「白黒ほど正式ではありませんが・・・」
という軽い気持ちで使用するそうです。
◎ 表書きを「御経料」や「回向料」と記載されたものが時々あります。何度も言いますが、
お布施は僧侶への報酬ではありませんので、決してこのような記載はしません。
◎ 表書きで、「御霊前」とかかれたものがありますが、浄土真宗では絶対にこのようには書きません。
死者の霊魂が宿っているという考え方にもとづくもので、お念仏の教えにそぐわないからです。
参考までに、ご法事などにお参りされて、熨斗袋に記載する時は、「御仏前」または「御香資」と記帳します。
◎ また、お札をつつむ時に懐紙に包むとか、お札はなるべく新券にするとか、
お札の上下・裏表を揃えるとか、丁寧にしようという寄進者の心を表現しています。
◎ 四十九日までの七日七日のお勤めの時は、満中陰でまとめてお布施を渡すのではなく、
その都度、法施に対してお布施を渡します。
4、お布施の金額について
◎ お布施は今まで述べましたように、報謝・喜捨・寄付でありますから
金額は決められません。精一杯の気持ちを表現してくだされば結構です。
◎ よく尋ねられる事で、お布施の相場のことを尋ねられます。しかし本当にお布施に相場はないのです。
地域によっても大きく違うし、各家庭の事情もまったく違うからです。
ですから、最低金額も最高金額もありません。10円でも100万円でも結構です。
ただし、0円はありません。
誤解を受けるかもしれませんが、多くの先輩方や門徒の入門書などからお布施の
目安の考え方の例をあげておきます。
◆葬儀のお布施の目安
例① 葬儀の式壇の半分
例② 年収の10%
例③ 米1俵~3俵分(昔はお米を、お布施としていた)
などなど、いろいろな考え方もあるようです。あくまでも参考までに
◎ 最近、葬儀のお礼参りにみえるとき「支払いに来ました」と切り出される方がいらっしゃいます。
これは、大変失礼な言い方です。仏事が単にサービスへの対価と受け取られることが
本当にさびしいことです。(都会の僧侶談)
Q、葬儀の時、お布施のほかに何か別に包まないといけないのでしょうか?
◎ 御布施以外のお包み、例えば「お車料」・「御膳料」・「院号懇志」
などがあります。 葬儀の会場が遠方で大変だったと思われれば「お車料」
を包まれれば良いでしょうし、葬儀でお斎をだされなかった、付かれなかった等で
「御膳料」を包まれると良いでしょう。
Q、お仏飯、果物などのお供えは、どのくらいでおろしたらよいでしょうか?
◎ お仏飯は、朝お供えして、お参りしたら下げてもよいです。
ただ、決まった時間はありません。午前中お供えして、
お昼に召し上がるなどご自分の都合で結構です。
また、果物やお菓子などは何日間とは決まっていません。
果物などは、傷まないようになるべく早くお下げして、
いただいた方がよいでしょう。お菓子にしても、
お供えしたものはいただくようにしてください。
Q,お仏飯は白いご飯でなければいけないのですか?
◎お赤飯や栗ご飯、豆ご飯などお供えしてください。
それぞれの季節感があってよいと思います。ただし、精進でお願いします。
かやくご飯などに鶏肉が入っていたらそれは避けてください。
Q,金封の表書きは、通夜、葬儀、法事で違うのですか?
◎ 葬儀では、「御香典」と記載します。通夜、法事は「御仏前」が一般的です。
通夜で「御香典」と記載しても間違いではありません。ただし、「御霊前」
は浄土真宗では用いません。これだけは覚えておいてください。
Q,「お布施」・「永代懇志」・「護持費」の違いについて
◎ 法施に対しての財施(お布施)としての「お布施」の他に、永代懇志・護持費があります。
永代懇志は、特別な時にお寺に納めるお金で、本堂の仏具などに使用され名前を刻み
個人の行いを残して行くことを意味します。
「護持費」とは、年間の組織管理費と言えます。本山・別院・婦人会・壮年会への
活動費であったり、境内の維持管理費・通信費となっています。本堂の火災保険に
加入しているため、護持費全体の多くを占めています。
以上、お布施についてでした。